アジアの雑踏が見たいなら

アキハバラヘいらっしゃい

路地にひしめく店に群がる

おとことおんなの中に混り

夢のマシンを探しにいこう

幾らためても金は足りない

金があっても夢は買えない

機械音痴もオタクもプロも

袖すり合せて街を行き交う

もしもどこかで出会ったら

獲物を見せ合って別れよう

後はネットでまたの機会に

アキハバラをさまよい歩く

夢見る人々のうねりを愛す

 

パーツ屋をのぞいてごらん

神は細部に宿るとはこの事

何に役立つか知る人ぞ知る

暗い狭い一坪の店に詰まる

メタルとコイルとガラスと

プラスチックと集積回路と

手の平に乗るチップの数々

おとこたちは目の色を変え

おんなたちは眉をひそめて

札とコインが行き交う区画

電光掲示板にめまぐるしく

踊る画像と走る文字が呼ぶ

右往左往しながら揺れてる

人の波に飲まれてさまよう

 

アキハバラへ吸い寄せられ

立ち食いカウンターに並び

電車の轟音を頭上に聞いて

足下の戦利品をかばいつつ

肌色の違う人々とすれ違う

びっしりとコンクリートで

固められた街の夕暮れどき

ネオンサインが瞬き始めて

一人で来た日は荷物が重い

誰かにネットで発信したい

どこかで人と巡り会いたい

電気街はこちらと示す看板

心と心に電気を通すために

切符を買ってアキハバラへ

 


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